Enamelware
昨日に続き、琺瑯のお話しをもう少し・・・
琺瑯のコンテナ。
またはキャニスターと呼ばれる容器。
キッチンでハーブや調味料を保存していました。
写真は1930年~50年代のイギリス製。
この時代の一般的な琺瑯より、
どっしりしていて形と質が良いアイテムです。
濃い目のブルーが時代を見分けるひとつのポイント!
描かれた文字は印刷より、
写真のように浮き文字タイプの方がレア。
中身の表示も【TAPIOCA】や【CHICORY】など
珍しい物ほど価値があるんです。
こちらはフランスの琺瑯。
花や葉が幾何学模様のように
デザインされてるsaxony(サキソニー)柄。
ヨーロッパの伝統的な模様です。
白地にブルーの細い線で描かれた
花や葉、絡み合う茎は1本1本手書き!
琺瑯雑貨が作られ始めた当時は、
ハンドペイントが主流。
だから手描きの図柄であれば
古い時代だということ。
琺瑯は図柄だけで国や時代がわかる物が多く、
イギリス物はほとんどが文字、
フランス物は花柄やチェックなど絵柄が多いです。
知っていると違いがよくわかってオモシロイ。
琺瑯のキャンドルホルダー。
映画などでみなさんも1度くらいは
目にしたことがあるのでは?!
イギリスでは家全体、特に2階以上の場所に
電気の配線が整ったのは1960年代。
寝室は2階以上が普通で
庶民のトイレは外にあるのが一般的。
だからこそ夜は暗い廊下や階段、屋外を歩くのに
キャンドルやランプなど、
手持ちの明かりが必需品だったんです。
琺瑯は眺めているだけで
その当時の生活を想像できる。
琺瑯の水切り、三角コーナーです。
クリーム色のボディーにグリーンのトリムは
人気の組み合わせ。
水切りは状態の良い物を見付けるのが困難。
臭いや汚れがつきにくい琺瑯は
キッチンの強い見方!
買い付けをしていると
『日本人は琺瑯のカケなどをとても気にする』と
よく言われます。
以前は私もそのひとりでした。
けれども時代背景や作られた過程を知るうち、
『クラックやチップがあるのは
道具として使われていたという証拠』だと
ダメージをアンティークの魅力として
感じるようになりました。
琺瑯は表面のガラスを傷めないようすること、
使った後にはちゃんと洗って良く乾かすこと、
これだけ知っていれば大丈夫!
当時と同じ用途で使うのは難しいけれど
素朴で温かみのあるフォルムと美しい見た目、
たくさんの機能美は日用品として
今の時代でも充分なほど働きます。
長い歴史を秘めた琺瑯雑貨のある生活を
ぜひ楽しんでみてください。
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